ひとやすみ

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いまさら「ロビンソン」と「スピッツ」の魅力を語る(2)

2 この曲の裏の顔―アルペジオ

歌詞が特徴のスピッツ。しかし,この特徴的な歌詞を引き立たせているのはギターである。

ギター三輪テツヤが多様するのがアルペジオという奏法だ。要するに和音の構成音を一音ずつ繰り返し弾くというもので,もっと簡単にいうとロビンソンのイントロでなってるやつだ。よく聞くとサビでも同じようなメロディが鳴っている。これがアルペジオ

 

アルペジオにより印象的なフレーズが繰り返されることによって,曲に対するイメージが構成されるといって過言ではない。ロビンソンもイントロのギターを聞くだけで(言葉にするのは野暮だが)哀愁みたいなものを感じる。これによって,草野の抽象的な歌詞に具体的なイメージが付与される。

歌詞の入った音楽はまず全体の音が耳に入って,そのあと繰り返し聞く中で歌詞が頭に入ってくると思う。そして,その過程は抽象的な音のイメージ→具体的な歌詞のメッセージということになろうが,スピッツは逆である。アルペジオによって印象付けがなされた後,歌詞によってその世界が多様な解釈によって拡大する。

ロビンソンもアルペジオが印象的だが,スピッツで最もアルペジオが効果的に用いられているのは「春の歌」ではないだろうか。この曲は春の歌といいながら歌詞の中に例えば桜や,雪解けのような具体的な春の情景は全く出てこない。小林一茶が頭を抱えるレベルだ。

しかし,この曲はイントロをひとたび聞きさえすれば春の新しい,開けたイメージを感じさせてくれる。

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