ひとやすみ

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歌詞がいいんじゃない。音楽がいいのだ。(3) 

Ⅱ.BUMP OF CHICKEN 

BUMP OF CHICKENは最も歌詞に注目が集まるバンドの一つだと思う。BUMPの曲は,代表曲である『天体観測』がそうであるように一曲の中で物語が展開されていることが特徴だ。

一方で,BUMPは歌詞が命と思われるのはそれはそれで問題がある。音楽あっての歌詞というのは今回のテーマでずっと言い続けたことだ。この機会にBUMPの詩を音として聞いてみてほしい。

 

 

取り上げたいのは代表曲の一つ『プラネタリウム』だ。この曲はアルバル『orbital period』に収録されている。『orbital period』はジャケットになっている「星の鳥」にまつわる特大ブックレットがついておりますます藤原基央の書く詩が注目されがちである。しかし,『プラネタリウム』は歌詞と音のシナジーを強く感じることができる曲になっている。

youtu.be

まず,ギターにかかっているエコー(エフェクターの詳細はあまり知らないですすいません。)がプラネタリウムの天井の高いイメージを表現している。また,歌もロングトーンが多く,空間の広さを感じさせる。あと地味なポイントであるがベースが曲を通して高音に位置することが多く,ドラムが独立して聞こえやすいこともこのイメージに一役買っているのではないかと個人的には思っている。

歌詞について,意味内容ではなく言葉選びにも注目したい。

 

四畳半を拡げたくて 閃いてからは速かった

次に日には出来上がった 手作りプラネタリウム

科学の本に書いてあった 作り方の他にアレンジ

実在しない穴を開けて 恥ずかしい名前付けた

 

歌詞の冒頭の部分になる。注目したいのは意図したか定かではないが頭韻が使われているということだ。頭韻とは言葉の子音を合わせることで印象付ける手法である。「四畳半を~」の部分は言葉だけ見るとわからないが歌と合わせるとハ行の音が並んでいることがわかるだろう。そして「科学の本に~」の部分は今度はカ行の音が並んでいる。また,上の部分にはないがサビの「消そうなくらい輝いてて~」もカ行の音が並んでいる。このような頭韻法は気持ちよく言葉が耳に入ってくるのでそれぞれの言葉が印象に残る。

 

広大な音像に対して,言葉一つ一つが印象強く残るという構成自体がプラネタリウムのそれに類似するのは偶然ではないだろう。