ひとやすみ

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いわゆるラップミュージックについて(1)

アメリカと違って日本ではHIP HOPが流行らないという嘆きをしばしば聞く。このことは一体何を意味するのか。今回はそんなテーマだ。

HIP HOPという言葉を使うとアフリカ由来の文化全体を指すのでここではテーマを音楽に限定する形でラップミュージックという言葉を使わせていただく。

 

エミネムを筆頭に海外ではこれでもかというくらい流行っているらしい。しかし,ラップミュージックはサンプリングビート,要するに既存の曲を用いた打ち込みのビートに歌詞を載せているだけで音楽的な要素はサンプリングセンスとラッパーのビートアプローチ,歌詞(およびそれに含まれる韻)に限定される。ビートは8小節同じフレーズの繰り返しで曲の構成もいたってシンプルだ。

www.youtube.comHIPHOPが売れる理由は極めて簡単でめちゃくちゃエコノミーだからだ。売れる理由がエコノミーというとトートロジーでは?と文句を言われかねない。もっとかみ砕いていうと,先に述べた通り楽曲制作がシンプルでバンドと比べて人員の面でも楽器の面でもあるいは時間の面でもコストがかからない。また,ライブもちゃんとやらなくてよい。結局バンドのように複雑性がないからアレンジの必要性が低いのだ。加えて,歌詞とビートアプローチという最も分かりやすい部分に力点が置かれているため,聞き手としても音楽的素養がなくてもちゃんと楽しむことができる。

 

逆に,いくつか欠点もある。当然ながら音楽通にはもちろん響く部分もあるが限界もある。複雑性が少ないからだ。また,ライブ感のあるライブを演出するのも難しいだろう。

ラップミュージックの以上のような特徴はスマホゲームと完全に一致していると思う。グラブルパズドラはめちゃくちゃヒットしているが,これらにはまっている人はゲーマーなのかと言われると微妙なところがある。

ところで,日本でそれなりにセールスを挙げているラップミュージックのアーティストもいる。代表例はライムスターやcreepu nutsだ。ただ,両者ともメンバーのタレント性の高さによる部分もあったり,音楽的に作りこんでいることもあり,上のようなエコノミーな音楽としてのラップが流行っているとも言い難い。

www.youtube.comバンド感のあるビート,Aメロ→Bメロ→サビというJpopの流儀に従った作曲がなされており,アメリカで流行っているラップミュージックとはやや異なる。フルプライスのスマホゲームに近い。