ひとやすみ

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暇ならM1でも見ろ

M1はいいぞ。おうち時間とかいうならM1を見ろ。

今回は,M1を見るときのポイントを紹介するぞ。

 

① あくまで芸人としてテレビで売れるための手段

M1を作ったのはかつては伝説の漫才師であり,当時は売れっ子司会者であった島田紳助だ。

 

島田紳助M1を始めた理由は,売れてないけど面白いやつを売れさせることと,面白くないけど続けてるやつを辞めさせることにあった。M1のオープニングVTRの煽りは「俺たちが一番面白い」というものである。しかし,「一番面白い」=スター性がある=売れてなくてはおかしいという考え方が根底にあるので,ここでの「一番面白い」というのは芸として優れているというよりスター性があるということと直結する言葉だ。

これは優勝したあとのテレビの扱いからもわかる。吉本芸人だと優勝によって舞台数も増えることになるのでわかりにくいが,結局のところ,各局テレビ番組を一周させられることになるので,この副賞を得るにふさわしい芸人が勝たなくてはいけない。

 

こう考えるとM1はあくまで次世代のスター漫才師を発掘するための大会である。そこからすると,M1特有のやや腑に落ちない展開も納得できるのではないかと思う。例えば,島田紳助の後任の審査員長が松本人志じゃなく上沼恵美子なのは,松本より上沼の方が芸人のタレント性を見抜くことにおいて秀でているからといえる。

他にも,なんでこの組が優勝なんだという展開がしばしばあると思う。でもそう思った時には,逆にひいきにしてた方が勝ったとすれば今までと比較してテレビの出演数が段違いになったのか?と言われると確かに厳しいなという年が多いのではないかと思う(2008年はNON STYLEとオードリーが五分五分だったとみるしかないか)。

 

M1王者は多くの場合,出場した時点ではテレビで日の目を見ていないコンビが多い。だからこそ,垢ぬけていない彼らの中に眠っているスター性が開花する瞬間を見ることができるというのはM1を見る醍醐味の一つだろう。

 

②「M1芸人」を見ろ

M1は優勝だけがすべてではない。M1で爪痕を残したこと自体がブランドになる。常連になればさらにそれが強まる(もっとも,顔が売れすぎるまだ見ぬスター性というものは薄れていき,勝てなくなるが)。

今であれば和牛が有名で,3年連続準優勝は破られることはないだろう。歴史を紐解けば,麒麟は3年連続3位の記録を持っていたりする。この二組はスタイルが似ている。4分の漫才の中に仕掛けを撒いていって最期に爆発させるというやり方だ(例えば,和牛の2017年の「ウェディングプランナー」のネタ,麒麟の2005年の「野球」のネタ)。テレビでしか漫才を見ない人はもしかするとぴんと来ない可能性もあるが,4分というのは漫才の持ち時間として非常に短い。その中で印象に残す,笑いをとるということを考えると3分40~50秒当たりに最大の笑いを持ってくるというやり方は一つの解といってもいい。たしかにこのやり方は強い。しかし,4分間の制限の中で一番笑いが取れるのはやはり4分間笑かし続けることだ。

まとめると,M1の歴史は麒麟和牛を軸にこうした見方ができる。つまり,M1のファイナリストは一回の大爆発を起こす彼らと,それに対して4分間笑わせ続けるスタイルに挑むもの(一例としては,ブラックマヨネーズアンタッチャブルが挙げられる)とそれに追随して爆発を求めるもの(例えば,トータルテンボススーパーマラドーナはこちら)に分かれる。彼らの結果からわかるように,そしてM1が売れるための大会であるということからわかるように優勝者は4分間客を笑わせ続けた芸人がとっている。とはいえ,麒麟和牛やそれに類するM1芸人にも一種の芸術性がある。笑いを4分でどのように取っているかという点に注目すると面白いかもしれない。

 

③ イチオシの回  

2015年以降の新しいM1は見た人も多いかと思うので,2001年~2010年までのもので紹介したい。

やはり入門として最適なのは2005年かと思う。何より出場芸人が全員現在も一線級で活躍している(タイムマシーン3号ネタ番組ではよく見るから許してあげてほしい)。千鳥が岡山弁をあまり使っていなかったり,アジアン(もまあそんなにテレビで見ないかもしれない)が意外と漫才がうまかったり,いろいろな発見があるのではないかと思う。また最終3組それぞれが異なるネタでそれぞれがここまでぶっ飛んだネタをやるのも珍しいのではないかと思う。

個人的には麒麟のファッションショーのネタが好きなんだけど,めっちゃすべってた。