はじめてのMRI —これから受ける方へ
0 はじめに
私は齢25歳の独身男性なのだが,なんと先日はじめて頭部のMRI検査を受けてきた。もちろんこの年でMRIを受けたことがある人もいると思うが,少数派だと思う。そこで,特に,健康診断等の定期健診と無関係に突然MRIを受けることになってしまった人に向けて,MRI検査がどのようなものかというのを書いておこうと思う。
あらかじめ言っておくと,MRIをいきなり受けるという状況であれば絶対にMRIへの予備知識はあった方がいい。なぜならMRIはなかなかの恐怖体験だからである。
1 検査の経緯
きっかけは何となく耳とその周りに痺れるような感覚が続いたことにある。例えて言うならずっと耳にいやーまふをかぶせられている感覚がした。頭痛じゃなくて「痺れ」というのが微妙に怖かったので,耳鼻科と神経外科をはしごした。
耳鼻科では単純な神経症と言われたが,神経外科曰く,神経症にも抹消神経がいかれている場合と,中枢神経がいかれている場合の2パターンがあるらしい。痺れる程度では中枢がいかれている確率は低いが念のため検査しときますか…?てな具合で話はスルスル進んでいった。
ところがこの先が困った。「CT検査でも一応簡単に確認はできるんだけど,MRIが確実でいいよねー」。
え,MRI…!?それって「本当は怖い家庭の医学」とかで脳に瘤がある恐れのある人がぶち込まれているようなやつじゃなかったか…?
ここでちょっとピンときた。この神経外科は病院とくっついている診療所だ。だから,MRIを持っている病院とずぶずぶで,なんとか検査に回したいのでわないか,と。
でも,25歳でMRIをやるチャンスなんてなかなかないんじゃないか。もしかしたら不摂生がたたって脳に瘤ができてる可能性もないわけではないのではないか。ともすればブログのネタになるのではないか。などと様々な考慮が働き,受けることにした。
2 MRI検査とは
詳しいことは信頼できる医療法人のwebサイトを見てほしい。
簡単にいうと,
手前のベッドに横たわって奥にある白い筒状の装置に入る。すると中で協力な磁力が働き体の中の血管やら臓器が撮影できるというもの。
医療の知識がない自分に言わせればデラックスレントゲンといったところだろうか。
ちなみに単体の検査では6000~10000円くらいはかかる。お値段もデラックス。
3 MRIのここが嫌だ/その対処法
と,まあ装置だけ見ると大したことはない。私もレントゲンを撮るような軽い気持ちで検査を受けに行った。
先にも書いたように磁気を利用するため身に着けているものはすべてロッカーに預け,ビジネスホテルのパジャマみたいな検査着に着替えさせられる。もちろん眼鏡もつけていてはいけない。
さてここまでできたら準備OK。ベッドに横たわる。そこで担当医に立て続けに5つのことを言われた。
・「閉所恐怖症などないですか?」
―まあない。満員電車,エレベーター,段ボールの中,別に平気である。
・「中ではとても大きな音がするのでイヤーマフをかけますね」
―いや,耳が痺れているという話なんだが…。しかし閉所に閉じ込められて爆音を聴かされるというのは…。
・「何か気分が悪くなったら,このゴムをしっかり握ってください」
―ゴムラッパのゴムの部分にチューブがついたものを渡された。まあナースコールみたいなものだな。
・「顔も危ないのでマスクしますねー」
―なんとキャッチャーマスクのようなものをつけられてしまった。これで頭は全く動かせない,どころか視界も制限されてしまった。
・「それでは30分ほどその姿勢でじっとしておいてください。」
―聞いてはいたが,長い。いや,長さこそわかっていたが,視界と移動が制限された上で30分爆音を聴かされるのはかなりヤバいぞ…。
以上の告知が終わってからベッドが筒の中にマシーンで運ばれた。運ばれたというとまっすぐ筒の中に平行移動させられるイメージかもしれないが,MRIという装置,なかなか大きいのでベッドを一度持ち上げてから筒の中に突っ込まれる。つまり,しっかり固定されているというよりも若干浮いているような感覚がする。
まとめると,顔がシールドでおおわれて動けない。しかも筒の中は真っ白なので視界は当然真っ白に覆われることになる。体は浮遊感がある。しかも検査中は映画が開始するときに流れるブザー音のような音が爆音で流れている。なんなら強い磁力が発生しているので何となく前進が引っ張られている感じもある。
気がついたら私はゴムラッパを吹いていた。再びマシーンでベッドが筒から出された。
Q「これが30分続くんですか?」
A「そうですよ」
Q「マジですか?」
A「マジですよ?」
といったやり取りがあって私はどうすることもできず再び私は筒の中にぶち込まれた。
ただ,この一連のやり取りの中で二つのことに気が付いた。
①体は完全に筒の中に入っているわけではない。
→つまり視界は基本的に覆われているが足元は外に出ているので, 足元を見ると筒の外を見ることができる。よって,浮遊感による 酔いはこれで回避できる。
②検査の工程がわかった。
→30分の内訳が6種類の撮影を5分ずつ行うということを担当医か ら説明してもらった。検査中に流れている音が変わることから検 査を受けている側も今がどれくらいかがわかる。
というわけで,私も恐怖が和らぎ,ひとまず30分検査を受けることができた。まあもう一度受けろと言われると結構いやだが。
閉所恐怖症な人や酔いやすい人,単純にビビりな人は上の二つを確認しておくと円滑に検査が受けられるのではないだろうか。
4 おわりに
一応,私のMRIの検査結果を言っておくと,特に何もなかった,つまり耳の痺れはただの抹消神経障害だった。ぼったくられたんじゃ?という気もなくはないが,体が五体満足なうちに一度MRIを体験しておいてよかった。重篤な疾患にかかってからこんなもん受けさせられたらストレスでくたばってしまいかねない。
突然MRIを受けることになった人はこのブログを見てできるだけストレスを感じることなく検査を受けてもらいたい。