古典と創作(3)

①と②は考えている途中を書いたものなので少々粗いのだが，今回は古典と創作の関係について一つの個人的な結論が出たのでまとめておく。

・創作においては，❶新たな価値観の発見と❷その価値観の押し付けが必要になる。

・このうち❶については，本来は古典に対する分析によってなせる業である。ただし，古典に対して無自覚に新たな価値観を定立することもあり得る。その場合には古典に根差さない，つまり説明不能な不合理な価値観も含まれてしまう。

・独創的と言われる人は❶が得意な人または❷が得意な人がこれに当たると考えられる。つまり，❶しかできない人も❷しかできない人もいる。❶だけの人は象牙の塔と揶揄される界隈に居る学者がこれに当たるか。❷だけの人は人目に付きやすい。例えばお笑いでいうなら，立川談志やら松本人志はこの笑いについていけないやつが悪いという態度で独特な世界観を押し付けているように思う。いわゆるカリスマと呼ばれる人がこれに当たろうか。

・ここから得られる示唆は，創作をする側はまずもって価値観の押し付けを心得る必要がある。これが備わらなければ，発想は無に帰す。そして受け手はできるだけ古典にさかのぼり創作を理解することが理解を深めることになる。